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 『日本橋』 青空文庫

 就てはです。私は没分暁漢の一巡査であるが、生理学教室に雛を祭ることにおいて、一石橋の朧月一片の情趣を会得した甲斐に、緋緘の鎧の袖に山桜の意気の羨しさに堪えんで。
 十年勤務の間、唯一の挙として、貴方に差上げたいものがある。
 ……奥さん。」

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