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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 ええ、気に入らずば代って漕げさ、と滅多押しに、それでも、大崩壊《おおくずれ》の鼻を廻って、出島の中へ漕ぎ入れたでござります。
 さあ、内の青畳、座敷へ入ったも同じじゃ、と心が緩むと、嘉吉奴《め》が、酒代を渡してくれ、勝負が済むまで内金を受取ろう、と櫓を離した手に銭《おあし》を握ると、懐へでも入れることか、片手に、あか柄杓を持ったなりで、チョボ一の中へ飛込みましたが。

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