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『龍潭譚』 青空文庫
やうやくいましめはゆるされたれど、なほ心の狂ひたるものとしてわれをあしらひぬ。いふこと信ぜられず、すること皆人の疑《うたがい》を増すをいかにせむ。ひしと取籠めて庭にも出さで日を過しぬ。血色わるくなりて痩せもしつとて、姉上のきづかひたまひ、後見《うしろみ》の叔父夫婦にはいとせめて秘しつつ、そとゆふぐれを忍びて、おもての景色見せたまひしに、門辺《かどべ》にありたる多くの児ども我が姿を見ると、一斉に、アレさらはれものの、気狂の、狐つきを見よやといふいふ、砂利、小砂利をつかみて投げつくるは不断《ふだん》親しかりし朋達《ともだち》なり。
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