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 『縁結び』 青空文庫

 地続きの桃畠《ももばたけ》へ入ると、さあ、たくさん取れ、今じゃ、姉さんのものになったんだから、いつでも来るがいい。まだ、瓜《うり》もある、西瓜《すいか》も出来る、と嬉しがらせて、どうだ。坊は家の児《こ》にならんか、姉さんがいい児にするぜ。
 厭《いや》か、爺婆《じじばば》が居《い》るから。……そうだろう。あんな奴は、今におれがたたき殺してやろう、と恐ろしく意気込んで、飛上って、高い枝《えだ》の桃の実を引《ひん》もぎって一個《ひとつ》くれたんだ。

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