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 『歌行燈』 従吾所好

「あれ、又来たぜ、按摩の笛が、北の方の辻から聞える。……ヤ、そんなに未だ夜は更けまいのに、屋根越の町一つ、恁う……田圃の畔かとも思ふ処でも吹いて居ら。」
 と身忙〈みぜは〉しさうに片膝立てて、当所なく〓〈みまは〉しながら、
「音は同じだが音〈ね〉が違ふ……女房さん、どれが、どんな顔〈つら〉の按摩だね。」

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