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 『薬草取』 青空文庫

「左右へ傾く舷《ふなばた》へ、流《ながれ》が蒼く搦《から》み着いて、真白に颯《さっ》と翻《ひるがえ》ると、乗った親仁も馴れたもので、小児《こども》を担《かつ》いだまま仁王立《におうだち》。
 真蒼《まっさお》な底《みなそこ》へ、黒く透《す》いて、底は知れず、目前《めさき》へ押被《おっかぶ》さった大巌《おおいわ》の肚《はら》へ、ぴたりと船が吸寄《すいよ》せられた。岸は可恐《おそろし》くは深い。

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