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『歌行燈』
従吾所好
「音は同じだが音〈ね〉が違ふ……女房さん、どれが、どんな顔〈つら〉の按摩だね。」
と聞く。……其時、
白
眼〈しろまなこ〉の座頭の首が、月に蒼ざめて覗きさうに、屋の棟を高く見た……目が鋭い。
「あれ、あんた、鹿の雌雄ではあるまいし、笛の音で按摩の容子〈ようす〉は分りませぬもの。」
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