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 『天守物語』 泉鏡花を読む

夫人 しばらく! せつかく、あなたのお土産を、いま、それをお抜きだと、衛門之介も針が抜けて、蘇返《よみがへ》つて了《しま》ひませう。
朱の盤 いかさまな。
夫人 私が気をつけます、可《よ》うござんす。(扇子を添へて首を受取る)お前たち、瓜を二つは知れたこと、この人はね、この姫路の城の主、播磨守とは、血を分けた兄弟だよ。

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