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 『日本橋』 青空文庫

 と頬摺したが、襟を合せて凜として、
「お待ち、私、考えた。……お稲荷様へお百度を上げよう。」
 とて見返る祠は、瓦斯燈の靄を曳いて、空地に蓮の花の紅いがごとく、池があるかと浮いて見える。

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