検索結果詳細
『薬草取』 青空文庫
巌角《いわかど》に刻《きざ》を入れて、これを足懸《あしがか》りにして、こちらの堤防《どて》へ上《あが》るんですな。昨日《きのう》私が越した時は、先ず第一番の危難に逢うかと、膏汗《あぶらあせ》を流して漸々《ようよう》縋《すが》り着いて上《あが》ったですが、何、その時の親仁は……平気なものです。」
高坂は莞爾《にっこり》して、
「爪尖《つまさき》を懸けると更に苦《く》なく、負《おぶ》さった私の方がかえって目を塞《ふさ》いだばかりでした。
172/283
173/283
174/283
[Index]