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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 かかり合は免れぬ、と小力のある男が、力を貸して、船頭まじりに、この徒《てあい》とて確ではござりませなんだ。ひょろひょろしながら、あとの先ず二樽は、荷《にな》って小売店へ届けました。
 嘉吉の始末でござります。それなり船の荷物にして、積んで帰れば片附きますが、骸ではない、酔ったもの、醒めた時の挨拶が厄介じゃ、とお船頭は遁《にげ》を打って、帆を掛けて、海の靄へと隠れました。

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