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『婦系図』
青空文庫
「貴娘《あなた》、どうしたんだ。」
と教頭が椅子から突立《つった》った時は、お妙は始からしっかり握った袂《たもと》をそのまま、白羽二重の肌襦袢の筒袖の肱を円《まろ》く、本の包に袖を重ねて、肩をせめて揉込むばかり
顔
を伏せて、声は立てずに泣くのであった。
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