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『高野聖』
泉鏡花を読む
足は忘れたか投出した、腰がなくば暖簾を立てたやうに畳まれさうな、年紀が其で居て二十二三、口をあんぐりやつた上唇で巻込めよう、鼻の低さ、出額。五分刈の伸びたのが前は鶏冠のごとくになつて、頸脚へ撥ねて耳に被つた、唖か、
白
痴か、これから蛙にならうとするやうな少年。私は驚いた、此方の生命に別條はないが、先方様の形相。いや、大別條。
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