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 『日本橋』 青空文庫

「お前さん、診察が頼みたい?……そうすりゃ死んでも可い。そんな解らない謎見たいな事を言わないで、判然と、石か、瓦か、当って砕けたら可いじゃないか。私も診察なら病院へ来たまえなどと廻りくどいことは言わないから。」
「実際、願いたい次第でして。就てはで、御覧の通り、着のみ着のままだ云ううちにも、擦切れた獣の皮一枚だ、国手。雨露|凌ぐ軒はまだしも、堂|社の縁の下、石材や、材木と一所にのたっている宿なし同然な身の上だで、御挨拶も手続も何も出来ねえですで、そこでもって直訴だでね、生命がけで願えてえだな。」

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