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『婦系図』
青空文庫
「ああ。」と、安堵《あんど》の溜息を一所にして、教頭は室の真中に、ぼんやりと突立つ。
河野の姿が、横ざまに飛んで、あたふた先へ立って扉《ドア》を開いて控えたのと、擦違いに、お妙は衝《つい》と抜けて、
顔
に当てた袖を落した。
雨を帯びたる海棠《かいどう》に、廊下の埃《ほこり》は鎮まって、正午過《ひるすぎ》の早や蔭になったが、打向いたる式台の、戸外《おもて》は麗《うららか》な日なのである。
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