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『活人形』 鏡花とアンティークと古書の小径
爾時《そのとき》得三は袖を掲げて、雪より白き下枝の胸を、乳も顕はに押寛ぐれば、動悸烈しく胸騒立ちて腹は浪打つ如くなり。全体虫が気に喰はぬ腸《はらわた》断割つて出してやる。と刀引抜き逆手に取りぬ。
夜は正に三更万藾死して、天地は悪魔の独有たり。
(次三郎とは本間のこと、第一回より三回の間に出でて毒を飲みたる病人なり。鎌倉より東京のことなれば、敏き看官《みるひと》の眼も届くまじとて書添へ置く。)
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