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『木の子説法』 青空文庫
すらすらと歩を移し、露を払った篠懸《すずかけ》や、兜巾《ときん》の装《よそおい》は、弁慶よりも、判官《ほうがん》に、むしろ新中納言が山伏に出立《いでた》った凄味《すごみ》があって、且つ色白に美しい。一二の松も影を籠《こ》めて、袴《はかま》は霧に乗るように、三密の声は朗らかに且つ陰々として、月清く、風白し。化鳥《けちょう》の調の冴《さ》えがある。
「ああ、婦人だ。……鷺流《さぎりゅう》ですか。」
私がひそかに聞いたのに、
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