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『婦系図』
青空文庫
「お嬢さん。」
お妙はそれまで気がつかなかった。呼《よば》れて、手を留《とめ》て主税を見たが、水を汲んだ名残《なごり》か、顔の色がほんのりと、物いわぬ目は、露や、玉や、およそ声なく言《ことば》なき世のそれらの、
美
しいものより
美
しく、歌よりも心が籠った。
1798/3954
1799/3954
1800/3954
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