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 『婦系図』 青空文庫

 と躾《たしな》めるように云って、お妙は上衣を引取《ひっと》って、露《あらわ》に白い小腕《こがいな》で、羽二重で結《ゆわ》えたように、胸へ、薄色を抱いたのである。
「貴娘は、先生のように癇性《かんしょう》で、寒の中《うち》も、井戸端へ持出して、ざあざあを使うんだから、こうやって洗うのにも心持は可いけれども、その代り手を墨だらけにするんです。爪の間へ染みた日にゃ、ちょいとじゃ取れないんですからね。」

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