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『婦系図』
青空文庫
「恩に被せるんじゃありません。爪紅《つまべに》と云って、貴娘、紅をさしたような美《うつくし》い手の先を台なしになさるから、だから云うんです。やっぱり私が居た時分のように、お玄関の書生さんにしてお貰いなさいよ。
ああ、これは、」
と片頬笑《かたほえ》みして、
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