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『草迷宮』
鏡花とアンティークと古書の小径
と丁寧に名のりを上げて、
「これが私《わし》ども、お主筋に当りましての。そのお邸の御用で、東海道の藤沢まで、買物に行ったので
ござ
りました。
一月に一度ぐらいは、種々《いろいろ》入用のものを、塩やら醤油やら、小さなものは洋燈《ランプ》の心まで、一車ずつ調《ととの》えさっしゃります。
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