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 『日本橋』 青空文庫

「容色はもとより、中年増でも生娘のような、あの、優しい処へ俺目を着けた。一睨、床の間から睨んだら、否応はあるまいわい。ああ、ここが俺膃肭臍の悲しさだ。金になる男のぬくとみにゃ、誰でも帯を解く、と奥州、雄鹿島の海女も、日本橋の芸者も同じ女だと、北海道|釧路国の学問だでな。
 ――吃驚したですだ、お前ん……ただ居りゃ袖も擦合うけれども、手を出すと、富士の山の天辺あたりまで、スーと雲で退かれたで、あっと云うと俺、尻餅を搗いたですが。
(御守殿め、男を振るなんて生意気な、可、清葉さんが嫌った人なら、私が情人にしてやろう。……)

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