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『草迷宮』
鏡花とアンティークと古書の小径
横浜は西洋臭し、三崎は品が落着かず、界隈は間に合わせの俄仕入れ、しけものが多うござりますので、どうしても目量《めかた》のある、ずッしりしたお堅いものは、昔からの藤沢に限りますので、おねだんも安し、徳用向きゆえ、御大家の買物はまた別で、」
と姥は糸を繰るような話しぶり。心のどかに口をまわして、自分もまたお茶参った。
しばらく往来もなかったのである。
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