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 『義血侠血』 青空文庫

「ああこれで清々した。二十四にもなって高島田に厚化粧でもあるまい」
 かくて白糸はを聴き、月を望み、夜色の幽静を賞して、ようやく橋の半ばを過ぎぬ。渠はたちまちのんきなる人の姿を認めぬ。何者かこれ、天地を枕衾《ちんきん》として露下月前に快眠せる漢子《おのこ》は、数歩のうちにありて〓《いびき》を立てつ。

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