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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 「……おう、宰八か。お爺、在所へ帰るだら、これさ一個《ひとつ》、産神様《うぶすなさま》へ届けてくんな。丁どはい、その荷車は幸《さいわい》だ、と言わっしゃる。
 見ると、お前様、嘉吉めが、今申したその体《てい》でござりましょ。
 同じ産神様氏子夥間《なかま》じゃ。承知なれど、私《わし》はこれ、手がこの通り、思うように荷が着けられぬ。御身《おみ》たちあんばいよう直さっしゃい、荷の上へ載せべい、と爺《じじい》どのがいいますとの。

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