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 『義血侠血』 青空文庫

「おや! いい気なものだよ。だれだい、新じゃないか」
 囃子方に新という者あり。宵より出でていまだ小屋に還らざれば、それかと糸は間近に寄りて、男の寝顔を〓《のぞ》きたり。
 新はいまだかくのごとくのんきならざるなり。彼ははたして新にはあらざりき。新の相貌はかくのごとく威儀あるものにあらざるなり。渠は千の新を合わせて、なおかつ勝ること千の新なるべき異常の面魂《つらだましい》なりき。

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