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 『日本橋』 青空文庫

 暖い閨も、石のごとく、砥のごとく、冷たく堅く代るまで、身を冷して涙で別れて……三たび取って返したのがこの時である。
 お孝は、乱書の仮名に靡く秋風の夜更けの柳にのみ、ものを言わせて、瞳も頬も玉を洗ったように、よろよろとただ俯向いて見た。
「済まないがね、――人形を忘れたから。」

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