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 『日本橋』 青空文庫

「済まないがね、――人形を忘れたから。」
「はい。」
 と清く潔い返事とともに、すっと入ると、向直って出た。乳の下を裂いたか、とハッと思う、鮮血を滴らすばかり胸に据えたは、宵に着て寝た、緋の長襦袢に、葛木が姉の記念の、あの人形を包んだのである。

 1968/2195 1969/2195 1970/2195


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