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 『日本橋』 青空文庫

 と清く潔い返事とともに、すっと入ると、向直って出た。乳の下を裂いたか、とハッと思う、鮮血を滴らすばかり胸に据えたは、宵に着て寝た、緋の長襦袢に、葛木が姉の記念の、あの人形を包んだのである。
 ト片手ついたが、欄干に、雪の輝くしい白い蛇の絡んだ俤。
「お怪我の無いよう……御機嫌よう。」

 1970/2195 1971/2195 1972/2195


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