検索結果詳細


 『海神別荘』 華・成田屋

公子  放せ。あれ見い。外道の口の間から、女の髪が溢(こぼ)れて落ちる。やあ、胸へ、乳へ、牙が喰入る。ええ、油断した。・・・骨も筋も断れような。ああ、手を悶(もだ)える、裳を煽る。
侍女六  いいえ、若様、私たち御殿の女は、身(からだ)は綿よりも柔かです。
侍女七  蓮の糸を束ねましたようですから、鰐の牙が、脊筋と鳩尾(みずおち)へ噛合(かみあ)いましても、薄紙一重透きます内は、血にも肉にも障りません。

 198/369 199/369 200/369


  [Index]