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 『高野聖』 泉鏡花を読む

(其はございません。)といひながら目たゝきもしないで清しい目で私の顔をつくづく見て居た。
(いえもう何でございます、実は此先一町行け、然うすれば上段の室に寝かして一晩扇いで居て其で功徳のためにする家があると承りましても、全くの処一足も歩行けますのではございません、何処の物置でも馬小屋の隅でも宜いのでございますから後生でございます。)と先刻馬の嘶いたのは此家より外にはないと思つたから言つた。

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