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 『日本橋』 青空文庫

「いや、夜遁げ同然な俄発心。心よりか形だけを代えました青道心でございます。面目の無い男ですから笠は御免を蒙ります。……どこと申して行く処に当は無いので、法衣を着て草鞋を穿くと、直ぐに両国から江戸を離れて、安房上総を諸所|経歴りました。……今日は、薬研堀を通ってこっちへ。――今度は日本橋を振出しに、徒歩で東海道に向いますつもり。――以来は知らず、どこへ参っても、このあたりぐらい、名所古蹟はございませんな。」

 1991/2195 1992/2195 1993/2195


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