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『義血侠血』
青空文庫
これはたして何者なるか。髪は櫛巻きに束ねて、素
顔
を自慢に〓脂《べに》のみを点《さ》したり。服装《いでたち》は、将棊《しょうぎ》の駒を大形に散らしたる紺縮みの浴衣に、唐繻子《とうじゅす》と繻珍《しゅちん》の昼夜帯をばゆるく引っ掛けに結びて、空色縮緬《ちりめん》の蹴出しを微露《ほのめか》し、素足に吾妻下駄、絹張りの日傘に更紗《さらさ》の小包みを持ち添えたり。
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