検索結果詳細


 『日本橋』 青空文庫

 把手を控えて、反身になった車掌が言った。その帽の、庇も顔も真赤である。
 黒いの、箱を溢るるばかり、乗客は総立ちに硝子に犇めく。
 驚いて法師が、笠に手を掛け、振返ると、亀甲形に空を劃った都会を装う、鎧のごとき屋根を貫いて、檜物町の空に※と立つ、偉大なる彗星のごとき火の柱が上って、倒に迸る。

 2000/2195 2001/2195 2002/2195


  [Index]