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 『日本橋』 青空文庫

 薄藤色の出の衣服の、肩を揉んで身をあせる、火の粉は紅梅のごとく衣紋を切って散るのである。
「蔵じゃない、蔵の事なんかじゃないんだよ。」
「箪笥は出したい。出来るだけ出した。」

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