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『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径
何吐《ぬか》すぞい、この野郎、贅沢べいこくなてえ、狐店の白ッ首と間違えてけつかるそうな、とぶつぶつ口叱言《くちこごと》を申しましての、爺《じじい》どのが振向きもせずに、ぐんぐん曳いたと思わっしゃりまし。」
「何か、夢でも見たろうかね。」
「夢処《どころ》でござりますか、お前様、直ぐに縊殺《しめころ》されそうな声を出して、苦しい、苦しい、鼻血が出るわ、目がまうわ、天窓《あたま》を上へ上げてくれ。やい、どうするだ、さあ、殺さば殺せ、漕がば漕げ、とまだ夢中で、嘉吉めは船にいる気でおります、よの。
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