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『春昼後刻』
泉鏡花を読む
「私は心持が悪いんでございます、丁ど貴下のお姿を拝みました時のやうに、」
と言ひかけて吻と小さなといき、人質の彼の杖を、斜めに両手で膝へ取つた。情の
海
に棹す姿。思はず腕組をして熟と見る。
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