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 『化鳥』 青空文庫

一躰《いつたい》助《たす》けて呉れたのは誰ですッて、様《おつかさん》に問ふた。私《わたし》がものを聞いて、返事に躊躇《ちうちよ》をなすつたのは此時ばかりで、また、それは猪《いぬしゝ》だとか、狼《おほかみ》だとか、狐《きつね》だとか、頬白だとか、山雀《やまがら》だとか、鮟鱇《あんかう》だとか鯖《さば》だとか、蛆《うぢ》だとか、毛虫《けむし》だとか、草だとか、竹《たけ》だとか、松茸《まつたけ》だとか、しめぢだとかおいひでなかつたのも此時ばかりで、そして顔の色をおかへなすつたのも此時ばかりで、それに小さな声でおつしやつたのも此時ばかりだ。

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