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『日本橋』
青空文庫
と清葉が手を伸した時、炎の流は格子戸の倒れた穴を、堰を切った堤のごとく、九ツの頭を立てて漲り流るる。
「まあ、綺麗に花が咲いた事。」
一町、中を置いた稲葉家の二階の欄に、お孝は、段鹿子の麻の葉の、膝もしどけなく頬杖して、宵暗の顔ほの白う、柳涼しく、この火の手を視めていた。……
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