検索結果詳細


 『天守物語』 泉鏡花を読む

夫人 尤《もつとも》さ。
舌長姥 もし、通草《あけび》、山ぐみ、山葡萄、手造りの猿の酒、山峰の蜜、蟻の甘露、諸《もろはく》もござります。が、お二人様のお手鞠は、唄を聞きますばかりでも寿命の薬と承《うけたまは》る。恁《か》やうに年を取りますと、慾も、得も、はゝ、覚えませぬ。唯もう、長生《ながいき》がしたうござりましてなう。

 204/480 205/480 206/480


  [Index]