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 『日本橋』 青空文庫

 人雪頽打つ中を、まるで夢中で、
「人一人助けただい。この勢なら殺せるだい。お孝、畜生。」
 眼は火のごとく血走りながら、厚い唇は泥のごとく緊なく緩んで、ニタニタと笑いながら、足許ふらふらと虚空を睨んで、夜具包み背負って、ト転倒がる女を踏跨ぎ、硝子戸を立てて飛ぶ男を突飛ばして、ばたばたと破って通る。

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