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 『日本橋』 青空文庫

 虫が知らしたか、もう一度、
「お爺さん。」と呼ぶと斉しく、立って逃げもあえず、真な腕をあわれ、嬰児のように虚空に投げて、身を悶えたのは、お千世ではないか。
 赤熊は今日も附狙って、清葉が下に着た段鹿子を目的に刃を当てた。

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