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 『貝の穴に河童の居る事』 青空文庫

 すぐここには見えない、木の鳥居は、海から吹抜けの風を厭《いと》ってか、窪地でたちまち氾濫《あふ》れるらしい水場のせいか、一条《ひとすじ》やや広い畝《あぜ》を隔てた、町の裏通りを――横に通った、正面と、撞木《しゅもく》に打着《ぶつか》った真中《まんなか》に立っている。
 御柱《みはしら》を低く覗《のぞ》いて、画か、芝居のまねきの旗の、手拭《てぬぐい》の汚れたように、渋茶と、藍《あい》と、あわれ鰒《あわび》、小松魚《こがつお》ほどの元気もなく、棹《さお》によれよれに見えるのも、もの寂しい。

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