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 『日本橋』 青空文庫

 小僧は土間の隅にさながらのからくり。お世辞ものの女房が居たらば何と云おう。それは見えぬ。
「坊主、咽喉が乾いたろうで、のかわりに、好なものを遣るぞ。おお、女房に肖如だい。」
 ニヤニヤとまた笑ったが、胡瓜の化けたらしい曲った刀が、剥きづらかったか、あわれ血迷って、足で白刃を、土間へ圧当て蹈延ばして、反を直して、瞳に照らして、持直す。目の前へ、すっと来て立ったのはお孝である。

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