検索結果詳細


 『日本橋』 青空文庫

 ニヤニヤとまた笑ったが、胡瓜の化けたらしい曲った刀が、剥きづらかったか、あわれ血迷って、足で白刃を、土間へ圧当て蹈延ばして、反を直して、瞳に照らして、持直す。目の前へ、すっと来て立ったのはお孝である。
「刀をお貸し。」
 黙って袖口を、なぞえに出した手に、はっと、女神の命に従う状に、赤熊は黙ってその刀を渡した。

 2136/2195 2137/2195 2138/2195


  [Index]