検索結果詳細


 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 食物《くいもの》も代物も、新しい買物じゃ。縁起でもない事の。罪人を上積みにしてどうしべい、これこれでござる。というと、可哀そうに苦しかろう、と団扇を取って、薄い羽のように、一文字に、横に口を啣えさしった。
 その時は、爺どのの方へ背《せなか》を向けて、をこう斜《はす》っかいに、」 
 と法師から打背《うちそむ》く、と俤《おもかげ》のその薄月の、婦人《おんな》の風情を思遣ればか、葦簀をはずれた日のかげりに、姥の頸が白かった。

 213/1510 214/1510 215/1510


  [Index]