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『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径
食物《くいもの》も代物も、新しい買物じゃ。縁起でもない事の。罪人を上積みにしてどうしべい、これこれでござる。というと、可哀そうに苦しかろう、と団扇を取って、薄い羽のように、一文字に、横に口を啣えさしった。
その時は、爺どのの方へ背《せなか》を向けて、顔をこう斜《はす》っかいに、」
と法師から打背《うちそむ》く、と俤《おもかげ》のその薄月の、婦人《おんな》の風情を思遣ればか、葦簀をはずれた日のかげりに、姥の頸が白かった。
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