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 『日本橋』 青空文庫

 何か言いそうにした口の、ただまたニヤニヤとなって、大な涎の滴々と垂るる中へ、素直にずきんと刺した。が、歯にカッと辷って、脣を決明果のごとく裂きながら、咽喉へはずれる、その真中、我と我が手に赤熊が両手に握って、
「ううう、うう!……抉れ、抉れ、抉れ。」
 懐中をころがる小児より前に、小僧はべたべたと土間を這う。

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