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 『天守物語』 泉鏡花を読む

失の盤 聞かさいで何とする。(扇を笏に)それ、山伏と言つぱ山伏なり。兜巾《ときん》と云つぱ兜巾なり。お腰元と言つば人なり。恋路と言つぱ闇夜なり。野道山路厭《いと》ひなく、修行積んだる某《それがし》が、此のいら高の数珠《じゆず》に掛け、いで一祈り祈るならば、などか利験《りげん》のなかるべき。橋の下の菖蒲は、誰が植ゑた菖蒲ぞ、ぼろぼん、ぼろぼん、ぼろぼんのぼろぼん。

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