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『日本橋』
青空文庫
と、忘れたように柄を離すと、刀は落ちて、赤熊は真仰向けに、腹を露骨に、のっと反る。
お孝の彼を抉った手は、ここにただ天地一つ、白き蛇のごとく
美
しく、葛木の腕に絡って、潸々と泣く。
葛木はなお縋る袖をお孝に預けたまま、跪いて悶絶した小児を抱いた。
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