検索結果詳細


 『婦系図』 青空文庫

 その、不思議そうに瞳をくるくると遣った様子は、よっぽど可愛くって、隅の窓を三角に取って彳んだボオイさえ、莞爾した程であるから、当の外国人は髯をもじゃもじゃと破して、ちょうど食後の林檎を剥《む》きかけていた処、小刀を目八分に取って、皮をひょいと雷干《かみなりぼし》に、菓物《くだもの》を差上げて何か口早に云うと、青年が振返って、身を捻《ね》じざまに、直ぐ近かった、小児の乗っかった椅子へ手をかけて、

 2156/3954 2157/3954 2158/3954


  [Index]